2012年9月19日水曜日

今年の 正五九 終える

九月の御祈祷

 法華の守護神 三十番神、鬼子母神を床の間に祀る御祈祷は「正五九(しょうごっく)」とも呼ぶとおり、1月、5月、9月、巡ってくるのやけれど、そのたび前の日はいつもその準備に大わらわ。
もう、この雑記帳でもなんべん紹介させてもろうたことになるやろう。
 前日18日、朝から3合のもち米を水に浸けておく。お蔵から燭台、打ち敷き、金襴のお座布団、毛氈、経机、お軸を座敷へ運ぶ。この月に供える決まったお花やお盛り物の調達に自転車で走る。とりわけ九月は柘榴(ざくろ)を頂きに行くのがひと仕事や。
夕方、晩御飯を作りながら、かたわらでは餅つき機に朝に浸けといたもち米をセットしてお餅を搗いといてもらう。(こんなとき、文明の利器はほんまに便利で助かる)。ピーピーピーの合図がしたころには晩御飯は出来てて、チャッチャと2合のお鏡さんとおけそくさん(これは仏さん用の小餅)を作る。晩御飯後、床の間の祭壇をセット。これで、前日の下準は備完了。
 そして今朝、おぶくさん(炊き立ての御飯)をきれいに型にはめて盛り付けたのをお供えして鬼子母神の厨子の扉を広げてお上人の来訪を待つ。

 月参りでは黒い袈裟のお上人も、真っ白いそれに着替えられて、お仏壇のお経のあと床の間の前の祭壇へお経を唱えながら移動されると、優美な法華経からリズミカルな調子のお経に一変。「デデレビ・デデレビ・トウライ・トウライ・トウトウライ・・・」それはまるで遠い異国の言葉のようにも聞こえる。鼓膜に響く拍子木の音が家じゅうに響いて、火打ち石の火花が飛んで「怨敵退散!!妙法蓮華経退散!!!」と唱えられると、そのあたりの空気もスッキリ澄み渡るように思う。